電網聖書 - Public Domain
章: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
1:1 アブラハムの子,ダビデの子,イエス・キリストの系図。 1:2 アブラハムはイサクの父となり,イサクはヤコブの父となり,ヤコブはユダとその兄弟たちの父となり, 1:3 ユダはタマルによってペレツとゼラの父となり,ペレツはヘツロンの父となり,ヘツロンはラムの父となり, 1:4 ラムはアミナダブの父となり,アミナダブはナフションの父となり,ナフションはサルモンの父となり, 1:5 サルモンはラハブによってボアズの父となり,ボアズはルツによってオベドの父となり,オベドはエッサイの父となり, 1:6 エッサイはダビデ王の父となり,ダビデはウリヤの妻であった女によってソロモンの父となり, 1:7 ソロモンはレハブアムの父となり,レハブアムはアビヤの父となり,アビヤはアサの父となり, 1:8 アサはヨシャファトの父となり,ヨシャファトはヨラムの父となり,ヨラムはウジヤの父となり, 1:9 ウジヤはヨタムの父となり,ヨタムはアハズの父となり,アハズはヒゼキヤの父となり, 1:10 ヒゼキヤはマナセの父となり,マナセはアモンの父となり,アモンはヨシヤの父となり, 1:11 ヨシヤは,バビロンへの流刑のころにエコニヤとその兄弟たちの父となった。 1:12 バビロンへの流刑ののち,エコニヤはシャルティエルの父となり,シャルティエルはゼルバベルの父となり, 1:13 ゼルバベルはアビウドの父となり,アビウドはエリアキムの父となり,エリアキムはアゾルの父となり, 1:14 アゾルはサドクの父となり,サドクはアキムの父となり,アキムはエリウドの父となり, 1:15 エリウドはエレアザルの父となり,エレアザルはマタンの父となり,マタンはヤコブの父となり, 1:16 ヤコブはマリアの夫ヨセフの父となった。このマリアからキリストと呼ばれるイエスが生まれた。 1:17 それで,アブラハムからダビデまでの世代は全部で十四代,ダビデからバビロンへの流刑までは十四代,バビロンへの連行からキリストまでは十四代である。
1:18 さて,イエス・キリストの誕生は次のようであった。彼の母マリアはヨセフと婚約していたが,二人が一緒になる前に,彼女は聖霊によって妊娠していることが分かった。 1:19 彼女の夫ヨセフは正しい人で,彼女をさらし者にしたくなかったので,ひそかに去らせようとした。 1:20 しかし彼がこうした事について考えていると,見よ,主のみ使いが夢の中で彼に現われて,こう言った。「ダビデの子ヨセフよ,あなたの妻マリアを迎え入れることを恐れてはいけない。彼女の内に宿っているのは聖霊によるものだからだ。 1:21 彼女は男の子を産むだろう。あなたはその名をイエスと呼ぶことになる。この者こそ,自分の民をその罪から救うからだ」。
1:22 ところで,このことすべてが起こったのは,預言者を通して主によって語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。
1:23 「見よ,処女が妊娠し,
男の子を産むだろう。
彼らはその名をインマヌエルと呼ぶだろう」。
この名は,訳せば,「神はわたしたちと共に」という意味である。
1:24 ヨセフは眠りから覚め,主のみ使いが彼に命じたとおりに行ない,自分の妻を迎え入れた。 1:25 しかし,彼女が初子を産むまでは,彼女を性的には知らなかった。彼はその子をイエスと名付けた。
2:1 さて,イエスがヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムで生まれた時,見よ,東方からの賢者たちがエルサレムに来て,こう言った。 2:2 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので,その方を拝むために来たのです」。 2:3 それを聞いてヘロデ王は動揺し,彼と共に全エルサレムも動揺した。 2:4 彼は祭司長たちと民の律法学者たちとをすべて集め寄せ,キリストがどこで生まれることになっているのかを彼らに尋ねた。 2:5 彼らは彼に言った,「ユダヤのベツレヘムです。預言者を通してこのように書かれているからです。
2:6 『ユダの地のベツレヘムよ,
あなたは決してユダの君主たちの間で最も小さいものではない。
あなたから一人の統治者が出て,
わたしの民イスラエルを牧するからだ』」。
2:7 そこで,ヘロデは賢者たちをひそかに呼んで,星が現われた時期を詳しく聞き出した。 2:8 彼らをベツレヘムに遣わして言った,「行って,その幼子のことを念入りに調べよ。見つけたら,わたしに報告せよ。わたしも行って拝むためだ」。
2:9 王の言葉を聞いてから,彼らは出かけて行った。すると見よ,東方で見た星が彼らの先を行き,ついに幼子のいる場所の上にやって来て,止まった。 2:10 その星を見て,彼らは非常に大きな喜びをもって喜んだ。 2:11 家の中に入ると,その母マリアと共にいる幼子を見,ひれ伏して彼を拝んだ。自分たちの宝箱を開いて,金と乳香と没薬を贈り物としてささげた。 2:12 夢でヘロデのもとに戻らないよう告げられたので,別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。
2:13 さて,彼らが去って行くと,見よ,主のみ使いが夢の中でヨセフに現われて,こう言った。「起きて,幼子とその母を連れてエジプトに逃げ,わたしが告げるまではそこにとどまりなさい。ヘロデがこの幼子を探し出して滅ぼそうとしているからだ」。
2:14 彼は起きて,夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトに去って行った。 2:15 そしてヘロデが死ぬまでそこにいた。それは,預言者を通して主によって語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。「エジプトから,わたしは自分の子を呼び出した」。
2:16 それからヘロデは,賢者たちにだまされたことを知って非常に腹を立て,人を遣わして,賢者たちから詳しく聞き出した時期に基づき,ベツレヘムとその周囲の全地域にいる二歳以下の男の子をすべて殺させた。 2:17 その時,預言者エレミヤによって語られたことが果たされた。こう言われていた。
2:18 「ラマで声が聞こえた,
泣いて,大いに悲しむ悲嘆の声が。
ラケルは自分の子供たちのために泣き,
慰めてもらおうとしない。
彼らがもういないからだ」。
2:19 しかし,ヘロデが死ぬと,見よ,主のみ使いがエジプトにいるヨセフに夢の中で現われて,こう言った。 2:20 「起きて,幼子とその母を連れてイスラエルの地に入りなさい。幼子の命を求めていた者たちは死んだからだ」。
2:21 彼は起きて,幼子とその母を連れてイスラエルの地に入った。 2:22 しかしアルケラオスがその父ヘロデの代わりにユダを治めていると聞き,そこに行くのを恐れた。夢の中で告げられて,ガリラヤ地方に退いた。 2:23 そして,ナザレと呼ばれる町に来て住んだ。預言者たちを通して,「彼はナザレ人と呼ばれるだろう」と語られたことが果たされるためであった。
3:1 そのころ,バプテスマを施す人ヨハネが現われ,ユダヤの荒野で宣教して言った, 3:2 「悔い改めなさい。天の王国は近づいたからだ!」 3:3 この者は,預言者イザヤによって語られた者だったのである。こう言われていた。
「荒野で叫ぶ者の声がする,
主の道を整えよ,
その道筋をまっすぐにせよ」。
3:4 ところで,このヨハネはラクダの毛で作った衣を身に着け,皮の帯を腰に巻いており,イナゴと野みつを食べていた。 3:5 その時,エルサレムとユダヤ全土とヨルダン周辺の全地方の人々が彼のところに出て来た。 3:6 人々は自分の罪を告白して,ヨルダンで彼からバプテスマを受けていた。 3:7 しかし,ファリサイ人たちやサドカイ人たちの多くが彼の施すバプテスマに来るのを見た時,彼は彼らに言った,「マムシらの子孫よ,来ようとしている憤りから逃れるようにと,だれがあなた方に告げたのか。 3:8 それなら,悔い改めにふさわしい実を生み出しなさい! 3:9 『我々の父にアブラハムがいる』などと考えてはいけない。あなた方に告げるが,神はこれらの石からでもアブラハムに子孫を起こすことができるのだ。
3:10 「おのはすでに木々の根もとに置かれている。だから,良い実を生み出さない木はみな切り倒されて,火の中に投げ込まれるのだ。 3:11 わたしは確かに,悔い改めのためにあなた方に水でバプテスマを施しているが,わたしの後に来る方はわたしより強力だ。わたしはその方の履物を脱がすにも値しない。その方は,あなた方に聖霊*でバプテスマを施すだろう。 3:12 ふるい分けるフォークがその手にあり,その脱穀場をすっかりきれいにする。その小麦を倉に集め,もみ殻のほうは消すことのできない火で焼き尽くすだろう」。
3:13 その時,イエスはガリラヤからヨルダンに,ヨハネのところに来た。彼からバプテスマを受けるためである。 3:14 しかしヨハネは,イエスをとどめようとして言った,「わたしこそあなたからバプテスマを受ける必要があるのに,あなたのほうがわたしのところに来られるのですか」。
3:15 しかしイエスは答えて彼に言った,「今はそうさせてもらいたい。このようにしてすべての義を果たすのは,わたしたちにとってふさわしいことなのだ」。そこで彼はイエスの言うとおりにさせた。 3:16 イエスはバプテスマを受けると,すぐに水から上がった。すると見よ,天が彼のために開いた。彼は,神の霊がハトのように自分の上に下って来るのを目にした。 3:17 見よ,天から出た声が言った,「これはわたしの愛する子,わたしの心にかなう者である」。
4:1 それから,イエスは霊によって荒野に導かれた。悪魔から誘惑を受けるためである。 4:2 四十日四十夜断食し,そののち空腹を感じた。 4:3 すると誘惑する者がやって来て,彼に言った,「もしあなたが神の子なら,これらの石がパンになるように命じなさい」。
4:4 しかし彼は答えた,「『人はパンだけで生きるのではなく,神の口から出て行く一つ一つの言葉によって生きなければならない』と書いてある」。
4:5 それから悪魔は彼を聖なる都の中に連れて来た。神殿の高い所に立たせて, 4:6 イエスに言った。「もしあなたが神の子なら,下に身を投げなさい。こう書いてあるからだ,『神はあなたについてご自分のみ使いたちに指示をお与えになるだろう』,そして,
『彼らはその手であなたを支え,
あなたが石に足を打ちつけることのないようにする』」。
4:7 イエスは彼に言った,「『あなたは,あなたの神なる主を試みてはならない』とも書いてある」。
4:8 さらに悪魔は彼を非常に高い山に連れて行き,世のすべての王国とその栄光とを見せた。 4:9 彼はイエスに言った,「もしあなたがひれ伏してわたしを拝むなら,これらすべてをあなたに与えよう」。
4:10 その時,イエスは彼に言った,「サタンよ,わたしの後ろに下がれ! 『あなたの神なる主をあなたは崇拝しなければならず,その方だけに仕えなければならない』と書いてあるからだ」。
4:11 それから悪魔はイエスを離れた。そして見よ,み使いたちがやって来て,彼に仕えた。 4:12 さて,イエスはヨハネが引き渡されたことを聞くと,ガリラヤに退いた。 4:13 ナザレを離れ,ゼブルンとナフタリの地域にある海辺のカペルナウムに来て住んだ。 4:14 それは預言者イザヤを通して語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。
4:15 「ゼブルンの地とナフタリの地,
海に向かう地とヨルダンの向こうの地,
異邦人たちのガリラヤ。
4:16 闇の中に座っている民は大きな光を見た。
その地方で死の陰で座っている者たち,
その者たちに光が昇った」。
4:17 その時からイエスは宣教を開始して,こう言い始めた。「悔い改めなさい! 天の王国が近づいたからだ」。
4:18 ガリラヤの海辺を歩きながら,彼は二人の兄弟,すなわちペトロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレが,海で網を打っているのを目にした。彼らは漁師だったのである。 4:19 彼は彼らに言った,「わたしの後に付いて来なさい。そうすればあなた方を,人を捕る漁師にしよう」。
4:20 すぐに彼らは網を捨てて彼に従った。 4:21 そこから進んで行くと,ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが,その父ゼベダイと一緒に舟の中で自分たちの網を繕っているのを目にした。彼は彼らを呼んだ。 4:22 すぐに彼らは,舟とその父を残して,彼に従った。
4:23 イエスはガリラヤ全土を歩き回り,その会堂で教え,王国の福音を宣教し,民の中のすべての疾患と病気をいやした。 4:24 彼に関する評判はシリア中に広まった。人々は病気の者,すなわち,いろいろな疾患や苦痛で苦しんでいる者,悪霊に取りつかれている者,てんかんの者,体のまひした者などを,すべて彼のもとに連れて来た。そこで彼は彼らをいやした。 4:25 ガリラヤ,デカポリス,エルサレム,ユダヤ,またヨルダンの向こうから来た大群衆が彼に従った。
5:1 その群衆を見ると,彼は山に上った。彼が座ると,弟子たちがそのもとにやって来た。 5:2 彼は口を開き,彼らを教えてこう言った。
5:3 「霊において貧しい人たちは幸いだ,
5:4 嘆き悲しむ人たちは幸いだ,
5:5 柔和な人たちは幸いだ,
5:6 義に飢え渇く人たちは幸いだ,
5:7 あわれみ深い人たちは幸いだ,
5:8 心の清い人たちは幸いだ,
5:9 平和を造り出す人たちは幸いだ,
5:10 義のために迫害されてきた人たちは幸いだ,
5:11 「人々がわたしのゆえにあなた方を非難し,迫害し,あなた方に敵対してあらゆる悪いことを偽って言うとき,あなた方は幸いだ。 5:12 喜び,かつ喜び踊りなさい。天においてあなた方の報いは大きいからだ。人々はあなた方より前の預言者たちも同じように迫害したのだ。
5:13 「あなた方は地の塩だ。だが,塩がその風味を失うなら,何によって塩づけられるだろう。そうなると,もはや何の役にも立たず,外に投げ出されて人々の足の下で踏みつけられるだけだ。 5:14 あなた方は世の光だ。丘の上にある町は隠れることができない。 5:15 あなた方はともし火をともすと,量りかごの下ではなく,台の上に置く。そうすれば,それは家の中にいるすべての人に輝くのだ。 5:16 このように,あなた方の光を人々の前で輝かせなさい。人々があなた方の良い行ないを見て,天におられるあなた方の父に栄光をささげるためだ。
5:17 「わたしが律法や預言者たちを破棄するために来たと考えてはいけない。破棄するためではなく,達成するために来たのだ。 5:18 本当にはっきりとあなた方に告げるが,天と地が過ぎ行くまでは,律法から最も小さな文字の一つやごく小さな字画の一つも決して過ぎ行くことがなく,すべての事柄が実現するのだ。 5:19 だから,これらの最も小さなおきての一つを破り,そうするようにほかの人たちに教える者は,天の王国において最も小さな者と呼ばれるだろう。だが,そのおきてを行ない,またそうするようにほかの人たちに教える者は,天の王国において大きな者と呼ばれるだろう。 5:20 あなた方に告げるが,あなた方の義が律法学者たちやファリサイ人たちのものにまさっていなければ,あなた方は決して天の王国に入ることはないからだ。
5:21 「古代の人々に対して,『あなたは殺してはならない』,そして,『殺す者は裁きを受けるだろう』と言われたのをあなた方は聞いた。 5:22 だが,あなた方に告げるが,自分の兄弟に対して理由なく腹を立てる者はみな裁きを受ける。自分の兄弟に対して『ラカ!』と言う者は最高法院に引き渡され,『愚か者!』と言う者は燃えるゲヘナに投げ込まれる。
5:23 「だから,供え物を祭壇にささげようとして,兄弟が自分に対して何か恨み事を抱いていることをそこで思い出したなら, 5:24 あなたの供え物をそこ,祭壇の前に残しておいて,出かけて行きなさい。まず自分の兄弟と仲直りし,それから戻って来て,自分の供え物をささげなさい。 5:25 あなたを訴える者とは,あなたが彼と共にその途上にある間に,急いで和解しなさい。その告訴人があなたを裁判官に引き渡し,裁判官があなたを役人に引き渡し,あなたがろうやに投げ込まれてしまうことのないためだ。 5:26 本当にはっきりとあなた方に告げる。最後の小銭を払い切るまで,あなたは決してそこから出ることはないだろう。
5:27 「*『あなたは姦淫
5:31 「また,『自分の妻を離縁する者は,彼女に離縁状を与えるように』と言われた。 5:32 だが,あなた方に告げるが,淫
5:33 「古い時代の人々に対して,『あなたは偽りの誓いをしてはならず,主に対して自分の誓いを果たさなければならない』と言われたのをあなた方は聞いた。 5:34 だが,あなた方に告げるが,いっさい誓うな。天にかけても誓うな。それは神のみ座だからだ。 5:35 地にかけても誓うな。それは神の足台だからだ。エルサレムにかけても誓うな。それは偉大な王の都だからだ。 5:36 あなたの頭にかけても誓ってはならない。あなたは髪の毛一本さえ白くも黒くもできないからだ。 5:37 そうではなく,あなた方の『はい』を『はい』に,『いいえ』を『いいえ』にならせなさい。これ以上のことは悪い者から出るのだ。
5:38 「『目には目,歯には歯』と言われたのをあなた方は聞いた。 5:39 だが,あなた方に告げるが,悪い者に手向かうな。むしろ,あなたの右のほおを打つ者には,反対側をも向けなさい。 5:40 だれかがあなたを訴えて上着を取ろうとするなら,外衣をも取らせなさい。 5:41 あなたに強要して一マイル行かせようとする者とは,一緒に二マイル行きなさい。 5:42 求める者には与えなさい。そして,借りたいと望む者には背を向けてはいけない。
5:43 「『あなたは隣人を愛し,敵を憎まなければならない』と言われたのをあなた方は聞いた。 5:44 だが,あなた方に告げるが,敵を愛し,のろう者を祝福し,虐待し迫害する者たちのために祈りなさい。 5:45 あなた方が,天におられるあなた方の父の子供となるためだ。その方は,悪い者の上にも善い者の上にもご自分の太陽を昇らせ,正しい者の上にも正しくない者の上にも雨を降らせてくださるからだ。 5:46 自分を愛してくれる者たちを愛したからといって,あなた方に何の報いがあるだろうか。徴税人たちも同じことをしているではないか。 5:47 自分の友人たちだけにあいさつしたからといって,あなた方は何の優れたことをしているのか。徴税人たちも同じことをしているではないか。 5:48 だから,あなた方の天の父が完全であられるように,あなた方も完全でありなさい。
6:5 「あなた方は祈る時,偽善者たちのようであってはならない。彼らは,人々に見られるために会堂や通りの角で立って祈ることが大好きなのだ。本当にはっきりと,あなた方に告げるが,彼らは自分の報いをすでに受けている。 6:6 むしろ,あなたが祈る時には,奥の部屋に入り,戸を閉めてから,ひそかな所におられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば,ひそかに見ておられるあなたの父が,公然とあなたに報いてくださるだろう。 6:7 祈る時は,異邦人たちがするように無駄な繰り返しを費やしてはいけない。彼らは言葉が多ければ聞かれると思っているのだ。 6:8 だから,彼らのようになってはいけない。あなた方の父は,あなた方が求める前に,あなた方の必要なものを知っておられるからだ。 6:9 このように祈りなさい。『天におられるわたしたちの父よ,あなたのお名前が神聖なものとされますように。 6:10 あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が,天におけると同じように地上においてもなされますように。 6:11 今日,わたしたちの日ごとのパンをお与えください。 6:12 わたしたちの負い目をお許しください。わたしたちも自分に負い目のある人たちを許しますから。 6:13 わたしたちを誘惑に陥らせることなく,悪い者からお救いください。王国と力と栄光は永久にあなたのものだからです。アーメン』。
6:14 「あなた方が人々の罪を許すなら,あなた方の天の父もあなた方を許してくださるのだ。 6:15 だが,あなた方が人々の罪を許さないなら,あなた方の天の父もあなた方の罪を許してくださらないだろう。
6:16 「また断食する時には,偽善者たちのように陰気な顔つきをしてはいけない。彼らは,断食していることが人々に見られるようにと,その顔を見苦しくするのだ。本当にはっきりとあなた方に告げるが,彼らは自分の報いをすでに受けている。 6:17 むしろ,あなたが断食する時には,頭に油を塗り,顔を洗いなさい。 6:18 断食していることが人々にではなく,ひそかに見ておられるあなたの父に見られるためだ。そうすれば,ひそかに見ておられるあなたの父が,あなたに報いてくださるだろう。
6:19 「あなた方は自分のために地上に宝を蓄えてはいけない。そこではガやさびが食い尽くし,盗人たちが押し入って盗む。 6:20 むしろ,あなた方は自分のために天に宝を積み上げなさい。そこではガやさびが食い尽くすことも,盗人たちが押し入って盗むこともない。 6:21 あなたの宝のある所,そこにあなたの心もあるからだ。
6:22 「体のともし火は目だ。だから,あなた方の目が健全なら,あなた方の全身は光で満ちているだろう。 6:23 だが,あなた方の目がよこしまなら,あなた方の全身は闇で満ちているだろう。それで,あなた方の内にある光が闇であれば,その闇はどんなに深いことか!
6:24 「だれも二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか,一方に身をささげて他方をさげすむかのどちらかだからだ。あなた方は神と富の両方に仕えることはできない。 6:25 だから,あなた方に告げる。何を食べ,何を飲もうかと自分の命のことで,また何を着ようかと自分の体のことで思い煩ってはいけない。命は食物より,体は衣服より大切ではないか。 6:26 空の鳥たちを見なさい。種をまいたり,刈り入れたり,倉に集め入れたりしない。あなた方の天の父がそれらを養っておられる。あなた方はそれらよりもはるかに価値のあるものではないか。
6:27 「あなた方のうちのだれが,思い煩ったからといって,自分の寿命に一キュビトを加えられるだろうか。 6:28 あなた方はなぜ衣服のことで思い煩うのか。野のユリがどのように育つかをよく考えなさい。労したり,紡いだりしない。 6:29 だが,あなた方に告げるが,栄光を極めたときのソロモンでさえ,それらの一つほどにも装っていなかった。 6:30 では,神が,今日生えていて明日かまどに投げ込まれる野の草にこのように衣服を与えておられるのであれば,あなた方にはなおのこと衣服を与えてくださらないだろうか,信仰の少ない者たちよ。
6:31 「だから,『何を食べようか』,『何を飲もうか』,『何を着ようか』と言って思い煩ってはいけない。 6:32 こうしたものすべては,異邦人たちが追い求めているものだからだ。あなた方の天の父は,あなた方がこうしたものすべてを必要としていることをご存じなのだ。 6:33 むしろ,神の王国と神の義を第一に求めなさい。そうすれば,こうしたものすべてもあなた方に与えられるだろう。 6:34 だから,明日のことで思い煩ってはいけない。明日のことは明日が思い煩うからだ。その日の悪いことだけで十分だ。
7:6 「聖なるものを犬たちに与えたり,あなた方の真珠を豚たちに与えたりしてはいけない。彼らがそれらを足の下で踏みつけ,向き直ってあなた方を引き裂くことのないためだ。
7:7 「求めなさい,そうすれば与えられるだろう。探しなさい,そうすれば見いだすだろう。たたきなさい,そうすれば開かれるだろう。 7:8 だれでも求めている者は受け,探している者は見いだし,たたいている者には開かれるのだ。 7:9 あるいは,あなた方のうちのだれが,自分の息子がパンを求めているのに石を与えるだろうか。 7:10 また,魚を求めているのにだれが蛇を与えるだろうか。 7:11 それなら,あなた方が,悪い者でありながら,自分の子供たちに良い贈り物を与えることを知っているのであれば,まして天におられるあなた方の父は,ご自分に求める者たちにどれほど良いものを与えてくださるだろう! 7:12 だから,あなた方が人々からして欲しいと思うことは何でも,人々にも同じようにしなさい。これこそ律法と預言者たちだからだ。
7:13 「狭い門を通って入りなさい。滅びに至る門は広く,その道は広々としており,そこを通って入る者は多いからだ。 7:14 命に至る門はなんと狭く,その道はなんと狭められていることか! それを見いだす者は少ない。
7:15 「偽預言者たちに用心しなさい。彼らは羊の皮をつけてあなた方のところへやって来るが,内側はむさぼり食うオオカミだ。 7:16 あなた方はその実によって彼らを見分けるだろう。あなた方はイバラからブドウを,またはアザミからイチジクを集めるだろうか。 7:17 このように,良い木はみな良い実を生み出すが,腐った木は悪い実を生み出す。 7:18 良い木が悪い実を生み出すことも,腐った木が良い実を生み出すこともできない。 7:19 良い実を育てない木はみな切り倒されて火の中に投げ込まれる。 7:20 だから,あなた方はその実によって彼らを見分けるだろう。 7:21 わたしに向かって,『主よ,主よ』と言う者がみな天の王国に入るのではなく,天におられるわたしの父のご意志を行なう者が入るのだ。 7:22 その日には,多くの者がわたしに向かって,『主よ,主よ,わたしたちはあなたの名において預言し,あなたの名において悪霊たちを追い出し,あなたの名において多くの強力な業を行なったではありませんか』と言うだろう。 7:23 その時,わたしは彼らに告げる,『わたしは少しもあなた方を知らない。不法を働く者たちよ,わたしから離れ去れ』と。
7:24 「だから,わたしのこれらの言葉を聞いてそれを行なうすべての者を,わたしは岩の上に自分の家を建てた賢い人にたとえよう。 7:25 雨が降り,洪水が押し寄せ,風が吹いてその家に打ちつけても,それは倒れなかった。岩の上に土台を据えていたからだ。 7:26 わたしのこれらの言葉を聞いてもそれを行なわないすべての者は,砂の上に自分の家を建てた愚かな人に似ている。 7:27 雨が降り,洪水が押し寄せ,風が吹いてその家に打ちつけると,それは倒れた。そして,その倒壊はひどいものだった」
天の王国はその人たちのものだからだ。
その人たちは慰められるからだ。
その人たちは地を受け継ぐからだ。
その人たちは満たされるからだ。
その人たちはあわれみを受けるからだ。
その人たちは神を見るからだ。
その人たちは神の子供と呼ばれるからだ。
天の王国はその人たちのものだからだ。
7:28 イエスがこれらの事を話し終えると,群衆は彼の教えに驚いていた。 7:29 律法学者たちのようにではなく,権威をもって彼らを教えたからである。
8:1 彼が山から下りて来ると,大群衆が彼に従った。 8:2 見よ,一人のらい病の人が彼のもとに来て,彼を拝んで言った,「主よ,あなたは,もしそうお望みになれば,わたしを清くすることがおできになります」。
8:3 イエスは手を伸ばして彼に触り,こう言った。「わたしはそう望む。清くなりなさい」。すぐに彼のらい病は清められた。 8:4 イエスは彼に言った,「だれにも告げないようにしなさい。ただ行って,自分の体を祭司に見せ,モーセの命じた供え物をささげなさい。人々への証明のためだ」。
8:5 イエスがカペルナウムに入って来ると,一人の百人隊長が彼のもとに来て,彼に請い願って 8:6 言った,「主よ,わたしの召使いが家で横たわっています。体がまひして,ひどく苦しんでいるのです」。
8:7 イエスは彼に言った,「わたしが行って彼をいやそう」。
8:8 百人隊長は答えた,「主よ,わたしは自分の屋根の下にあなたをお迎えするほどの者ではありません。ただお言葉を下さい。そうすればわたしの召使いはいやされるでしょう。 8:9 というのも,わたしも権威の下にある者ですが,わたしの下にも兵士たちがいます。わたしがある者に『行け』と言えば行きますし,別の者に『来い』と言えば来ます。またわたしの召使いに『これをしろ』と言えばそれをします」。
8:10 イエスはこれを聞いて驚嘆し,自分に従っている者たちに言った,「本当にはっきりとあなた方に告げる。イスラエルにおいてさえ,わたしはこれほどの信仰を見いだしたことがない。 8:11 あなた方に言うが,大勢の者が東から,また西からやって来て,天の王国でアブラハム,イサク,ヤコブと共に席に着くだろう。 8:12 だが王国の子らは外の闇に投げ出されるだろう。そこには嘆きと歯ぎしりとがあるだろう」。 8:13 イエスは百人隊長に言った,「行きなさい。あなたの信じたとおりになるように」。彼の召使いはその時刻にいやされた。
8:14 イエスがペトロの家に入ると,そのしゅうとめが熱病で横たわっているのを目にした。 8:15 彼女の手に触ると,熱は引いた。彼女は起き上がって彼に仕えた。 8:16 夕方になると,人々は悪霊に取りつかれた者を大勢,彼のもとに連れて来た。 彼は言葉で霊たちを追い出し,病気の人をすべていやした。 8:17 これは預言者イザヤを通して語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。「彼はわたしたちの弱さを引き受け,わたしたちの病気を担った」。 8:18 さて,イエスは大群衆が自分の周りにいるのを目にして,向こう岸に出発するよう弟子たちに指図を与えた。
8:19 一人の律法学者がやって来て,彼に言った,「先生,あなたの行かれる所なら,どこへでも従って行きます」。
8:20 イエスは彼に言った,「キツネたちには穴があり,空の鳥たちには巣がある。だが,人の子には頭を横たえる所がない」。
8:21 弟子のうち別の者が彼に言った,「主よ,まず,行ってわたしの父を葬ることをお許しください」。
8:22 しかしイエスは彼に言った,「わたしに従いなさい。そして,死んだ者たちに自分たちの死者を葬らせなさい」。
8:23 彼が舟に乗り込むと,弟子たちが彼に従った。 8:24 見よ,激しいあらしが海に起こり,舟が波で覆われるほどであった。しかし彼は眠っていた。 8:25 彼らはそばに来て,彼を起こして言った,「主よ,わたしたちをお救いください! わたしたちは死んでしまいます!」
8:26 彼らは彼に言った,「なぜ恐れるのか,信仰の少ない者たちよ」。それから,起き上がって風と海をしかりつけると,大なぎになった。
8:27 彼らは驚いて言った,「風や海さえも従うとは,いったいこの方はどういう人なのだろう」。
8:28 彼が向こう岸に着き,ゲラサ人たちの地方に入ると,悪霊に取りつかれた二人の者が墓場から出て来て彼に出会った。非常に狂暴で,だれもその道を通り抜けることができないほどであった。 8:29 見よ,彼らは叫んで言った,「神の子イエスよ,わたしたちはあなたと何のかかわりがあるのか。あなたはわたしたちを苦しめるため,その時より前にここに来たのか」。 8:30 ところで,彼らから遠く離れた所で豚の大群が飼われていた。 8:31 悪霊たちは彼に懇願して言った,「わたしたちを追い出すのなら,あの豚の群れの中に去って行くことを許してくれ」。
8:32 彼は彼らに「行け!」と言った。
彼らは出て行って豚の群れの中に入った。すると見よ,豚の群れ全体ががけを下って海に突進し,水の中で死んだ。 8:33 飼っていた者たちは逃げて町の中に去って行き,悪霊たちに取りつかれていた者たちに起きたことを含め,すべての事を告げ知らせた。 8:34 見よ,町全体がイエスに会おうとして出て来た。彼を見ると,自分たちの地域から去るようにと懇願した。
9:1 彼は舟に乗って向こう岸に渡り,自分の町に入った。 9:2 見よ,人々が彼のもとに,体のまひした人を寝台に横たえたまま運んで来た。イエスは彼らの信仰を見て,体のまひした人に言った,「子よ,元気を出しなさい! あなたの罪は許されている」。
9:3 見よ,数人の律法学者たちが心の中で言った,「この男は冒とくしている」。
9:4 イエスは彼らの考えに気づいて,こう言った。「なぜあなた方は心の中で悪いことを考えているのか。 9:5 体のまひした人に,『あなたの罪は許されている』と言うのと,『起き上がって歩きなさい』と言うのでは,どちらがたやすいか。 9:6 だが,人の子が地上で罪を許す権威を持っていることをあなた方が知るために……」(それから体のまひした人に言った),「起き上がって,寝床を取り上げて,自分の家に帰りなさい」。
9:7 その人は起き上がり,自分の家に去って行った。 9:8 一方,群衆はそれを見て驚嘆し,このような権威を人に与えた神に栄光をささげた。
9:9 イエスはそこから進んで行くと,マタイと呼ばれる人が収税所に座っているのを見て,「わたしに従いなさい」と彼に言った。彼は立ち上がって,イエスに従った。 9:10 彼の家でイエスが食卓に着いていたときのことである。見よ,大勢の徴税人や罪人がやって来て,イエスや弟子たちと共に座っていた。 9:11 ファリサイ人たちはこれを見て,彼の弟子たちに言った,「なぜあなた方の教師は,徴税人たちや罪人たちと共に食事をするのか」。
9:12 イエスはこれを聞いて,彼らに言った,「健康な人たちに医者は必要でなく,病気の人たちに必要なのだ。 9:13 それで,『わたしはあわれみを望み,犠牲を望まない』とはどういう意味か,行って学んで来なさい。わたしは義人たちではなく,罪人たちを悔い改めへと呼び寄せるために来たのだ」。
9:14 それから,ヨハネの弟子たちが彼のもとに来てこう言った。「わたしたちとファリサイ人たちはたびたび断食するのに,あなたの弟子たちが断食しないのはなぜですか」。
9:15 イエスは彼らに言った,「花婿の友人たちは,花婿が共にいる間は,悲しむことができるだろうか。花婿が共にいるかぎり,彼らは断食できない。だが,花婿が彼らから取り去られる日々が来る。その時には,彼らは断食するだろう。 9:16 縮んでいない布切れを古い衣に当てる人はいない。その継ぎ切れが衣を引き裂き,破れはいっそうひどくなるからだ。 9:17 新しいブドウ酒を古い皮袋に入れる人もいない。そんなことをすれば,皮袋は張り裂け,ブドウ酒はこぼれ出て,皮はだめになるだろう。やはり,人々は新しいブドウ酒を新しい皮袋に入れる。そうすればどちらも保たれるのだ」。
9:18 彼らにこれらの事を話している間に,見よ,一人の支配者がやって来て,彼を拝んで言った,「わたしの娘がたった今死んでしまいました。ですが,おいでになって,娘の上にあなたの手を置いてください。そうすれば生き返るでしょう」。
9:19 イエスは立ち上がって彼に付いて行った。弟子たちもそうした。 9:20 見よ,十二年間も血の流出をわずらっている女が彼の後ろに近づき,その衣の房べりに触った。 9:21 というのは,彼女は,「あの方の衣に触りさえすれば,わたしはよくなるだろう」と心の中で言っていたからである。
9:22 しかしイエスは振り向いて,彼女を目にして言った,「娘よ,元気を出しなさい! あなたの信仰があなたをよくならせた」。するとその女はその時以来よくされた。
9:23 イエスは支配者の家に入って,笛を吹く者たちやうるさく騒いでいる群衆を目にすると, 9:24 彼らに言った,「部屋を空けなさい。少女は死んだのではなく,眠っているのだ」。
人々は彼をばかにした。 9:25 しかし,群衆が外に出されると,彼は中に入り,彼女の手を取った。すると少女は起き上がった。 9:26 この知らせはその地方全体に広まった。 9:27 イエスがそこから進んで行くと,二人の盲人が大声で叫んで,「ダビデの子イエスよ,わたしをあわれんでください!」と言いながら,彼に付いて来た。
9:28 彼が家の中に入ると,盲人たちはそのもとにやって来た。イエスは彼らに言った,「あなた方はわたしにそれができると信じるか」。
彼らは彼に言った,「はい,主よ」。
9:29 そこで彼は彼らの目に触り,「あなた方の信仰どおりのことが,あなた方に起こるように」と言った。 9:30 彼らの目は開かれた。イエスは彼らに厳しく命じて,「だれにもこのことを知られないようにしなさい」と言った。 9:31 しかし彼らは出て行って,その地方全体に彼の評判を言い広めた。
9:32 彼らが出て行くと,見よ,悪霊に取りつかれた口のきけない人が彼のもとに連れて来られた。 9:33 悪霊が追い出されると,口のきけない人はものを言った。群衆は驚いて言った,「イスラエルの中でこのようなことが見られたことは,これまで一度もない!」
9:34 しかしファリサイ人たちは言った,「彼は悪霊たちの首領によって悪霊たちを追い出しているのだ」。
9:35 イエスはすべての町や村を歩き回って,その会堂で教え,王国の福音を宣教し,民の中のすべての疾患と病気をいやした。 9:36 また群衆を見ると,彼らに対する哀れみに動かされた。彼らが羊飼いのいない羊のように苦しめられ,追い散らされていたからである。 9:37 そして彼は弟子たちに言った,「収穫は確かに多いが,働き人が少ない。 9:38 だから,収穫に働き人を遣わしていただくよう,収穫の主人にお願いしなさい」。
10:1 彼は自分の十二人の弟子たちを呼び寄せて,彼らに汚れた霊たちに対する権威を与えた。それらを追い出し,あらゆる疾患と病気をいやすためであった。 10:2 十二使徒の名前は次のとおりである。まず,ペトロと呼ばれるシモン,その兄弟アンデレ,ゼベダイの子ヤコブ,その兄弟ヨハネ, 10:3 フィリポ,バルトロマイ,トマス,徴税人のマタイ,アルファイオスの子ヤコブ,そして,またの名をタダイオスというレバイオス, 10:4 カナナイ人シモン,それにユダ・イスカリオテ。このユダはまた,彼を売り渡した者でもある。
10:5 イエスはこれら十二人を遣わし,彼らに命じてこう言った。「異邦人たちの間に行ってはいけない。また,サマリア人の町に入ってはいけない。 10:6 むしろ,イスラエルの家の失われた羊のところに行きなさい。 10:7 行くときには,『天の王国は近づいた!』と宣教しなさい。 10:8 病気の人たちをいやし,らい病の人たちを清め*,悪霊たちを追い出しなさい。あなた方はただで受けたのだから,ただで与えなさい。 10:9 財布の中に金も銀も真ちゅうも入れて行ってはいけない。 10:10 旅のための袋も,二枚の上着も,履物も,つえも持って行ってはいけない。働き人は自分の食物を受けるに値するからだ。 10:11 あなた方の入るどの町や村でも,ふさわしい人を見つけ出して,旅立つまではそこにとどまりなさい。 10:12 その家の中に入るときには,家の者たちにあいさつをしなさい。 10:13 その家がふさわしいなら,あなた方の平安をその上に臨ませ,ふさわしくないなら,あなた方の平安をあなた方のもとに戻らせなさい。 10:14 だれかがあなた方を受け入れず,あなた方の言葉に耳を傾けないなら,その家や町から出発する時に,あなた方の両足からちりを払い落としなさい。 10:15 本当にはっきりとあなた方に告げる。裁きの日には,ソドムとゴモラの地のほうがその町よりは耐えやすいだろう。
10:16 「見よ,わたしはあなた方を,オオカミのただ中の羊のように遣わす。だから,蛇のように賢く,ハトのように純真でありなさい。 10:17 また,人々に用心しなさい。彼らはあなた方を地方法廷に引き渡し,その会堂であなた方をむち打つだろう。 10:18 いやそれどころか,あなた方はわたしのために総督たちや王たちの前に連れ出されることになる。彼らと異邦人たちに対する証言のためだ。 10:19 だが,人々があなた方を引き渡す時,どのように,あるいは何を言おうかと思い煩ってはいけない。言うべきことは,その時にあなた方に与えられるからだ。 10:20 語っているのはあなた方ではなく,あなた方の内で語るあなた方の父の霊なのだ。
10:21 「兄弟は兄弟を,父は子供を死に引き渡すだろう。子供たちは両親に敵対して立ち上がり,彼らを死に至らせるだろう。 10:22 あなた方はわたしの名のゆえにすべての者たちから憎まれるだろう。だが,最後まで耐え忍ぶ者は救われるだろう。 10:23 また,人々があなた方をある町で迫害するときには,次の町へ逃げなさい。本当にはっきりとあなた方に告げるが,あなた方は人の子が来るまでにイスラエルの町々を回り終えることはないだろう。
10:24 「弟子はその教師より上ではなく,召使いはその主人より上ではない。 10:25 弟子はその教師のようになれば十分であり,召使いはその主人のようになれば十分だ。人々が家の主人をベエルゼブルと呼んだのであれば,ましてその家の者たちをどんなにか悪く言うだろう! 10:26 だから,彼らを恐れてはいけない。覆われているもので明らかにされないものはなく,隠されているもので知られないものはないからだ。 10:27 わたしがあなた方に闇の中で告げることを,光の中で話しなさい。また,耳もとでささやかれて聞くことを,屋上で宣明しなさい。 10:28 体を殺しても,魂を殺すことのできない者たちを恐れてはいけない。むしろ,魂も体も共にゲヘナで滅ぼすことのできる方を恐れなさい。
10:34 「わたしが地上に平和をもたらすために来たと考えてはいけない。平和ではなく,剣をもたらすために来たのだ。 10:35 わたしは人をその父と,娘をその母と,嫁をそのしゅうとめと争わせるために来たからだ。 10:36 人の敵は自分の家の者たちだろう。 10:37 わたし以上に父や母を愛する者は,わたしにふさわしくない。また,わたし以上に息子や娘を愛する者は,わたしにふさわしくない。 10:38 自分の十字架を取り上げてわたしの後に従わない者は,わたしにふさわしくない。 10:39 自分の命を見いだす者はそれを失い,わたしのために自分の命を失う者はそれを見いだすだろう。 10:40 あなた方を受け入れる者は,わたしを受け入れるのだ。そして,わたしを受け入れる者は,わたしを遣わした方を受け入れるのだ。 10:41 預言者という名のゆえに預言者を受け入れる者は,預言者の報いを受けるだろう。また,義人という名のゆえに義人を受け入れる者は,義人の報いを受けるだろう。 10:42 弟子という名のゆえにこれら小さな者の一人に一杯の水を与える者については,本当にはっきりとあなた方に告げるが,彼はその報いを決して失わないだろう」
11:1 イエスは自分の十二弟子に指図し終えると,彼らの町々で教えまた宣教するため,そこから去って行った。 11:2 さて,ヨハネはろうやの中でキリストの業について聞くと,自分の弟子のうちの二人を遣わして 11:3 彼に言った,「あなたが来たるべき方なのですか。それとも,わたしたちはほかの方を待つべきでしょうか」。
11:4 イエスは彼らに言った,「行って,あなた方が見聞きしている事柄をヨハネに告げなさい。 11:5 目の見えない人たちは見えるようになり,足の不自由な人たちは歩き,らい病の人たちは清められ,耳の聞こえない人たちは聞き,死んだ人たちは生き返らされ,貧しい人たちには良いたよりが宣教されている。 11:6 わたしにつまずきのもとを見いださない者は幸いだ」。
11:7 これらの者たちが帰って行くと,イエスは群衆にヨハネについてこう言い始めた。「あなた方は何を見るために荒野へ出て行ったのか。風に揺れるアシか。 11:8 そうでなければ,何を見るために出て行ったのか。柔らかな衣の人か。見よ,柔らかな衣を身に着けた者たちなら王たちの家にいる。 11:9 そうでなければ,なぜ出て行ったのか。預言者を見るためか。そうだ,あなた方に言うが,預言者よりはるかに優れた者だ。 11:10 この者は,『見よ,わたしはあなたの面前にわたしの使者を遣わす。その者はあなたの前に道を整えるだろう』と書かれている者だ。 11:11 本当にはっきりとあなた方に告げる。女から生まれた者の中で,バプテスマを施す人ヨハネより偉大な者は起こされていない。だが,天の王国で最も小さな者も,彼よりは偉大だ。 11:12 バプテスマを施す人ヨハネの日々から今に至るまで,天の王国は猛攻を受けている。そして,猛烈な者たちが力ずくでそれを奪い取っている。 11:13 すべての預言者たちと律法とは,ヨハネに至るまで預言したからだ。 11:14 あなた方がそれを受け入れる気があるなら,この者こそ来たるべきエリヤなのだ。 11:15 聞く耳のある者は聞きなさい。
11:16 「だが,わたしはこの世代を何と比べようか。それは,子供たちが市場に座って,自分たちの遊び仲間に呼びかけるのに似ている。 11:17 こう言うのだ,『君たちのために笛を吹いたのに,踊ってくれなかった。君たちのために悲しんだのに,嘆いてくれなかった』。 11:18 というのも,ヨハネがやって来て食べも飲みもしないと,彼らは,『彼には悪霊がいる』と言う。 11:19 人の子がやって来て食べたり飲んだりすると,彼らは,『見ろ,大食いの大酒飲み,徴税人たちや罪人たちの友!』と言う。だが,知恵はその実によって,正しいことが証明されるのだ」
11:20 それから彼は,彼の強力な業の多くがなされた町々を非難し始めた。それらが悔い改めなかったからである。 11:21 「災いだ,コラジンよ! 災いだ,ベツサイダよ! あなた方の中でなされた強力な業がテュロスやシドンでなされていたなら,彼らはとっくの昔にあら布と灰の中で悔い改めていただろう。 11:22 だが,あなた方に告げる。裁きの日には,テュロスとシドンのほうがあなた方よりは耐えやすいだろう。 11:23 カペルナウム,天まで高くされた者よ,あなたはハデスにまで下ることになる。あなたの中でなされた強力な業がソドムでなされていたなら,彼らは今日に至るまで残っていたことだろう。 11:24 だが,あなた方に告げるが,裁きの日にはソドムの地のほうがあなたよりは耐えやすいだろう」。
11:25 その時,イエスは答えた,「父よ,天地の主よ,わたしはあなたに感謝します。あなたはこれらの事を賢い者や理解力のある者から隠し,それを幼子たちに明らかにされたからです。 11:26 そうです,父よ,そのようにして,あなたのみ前で意にかなうことが生じたのです。 11:27 すべての事が,わたしの父によってわたしに引き渡されている。子を知っている者は父のほかにはおらず,父を知っている者は子と子が明らかにしたいと望む者のほかにはいない。
11:28 「労苦し,重荷を負わされているすべての者よ,わたしのところに来なさい。そうすれば,わたしがあなた方に安らぎを与えよう。 11:29 わたしのくびきを負って,わたしから学びなさい。わたしは柔和で心のへりくだった者だからだ。そうすれば,あなた方は自分の魂に安らぎを見いだすだろう。 11:30 わたしのくびきは負いやすく,わたしの荷は軽いからだ」
12:1 そのころ,イエスは安息日に穀物畑を通った。彼の弟子たちは空腹だったので,穀物の穂を摘んで食べ始めた。 12:2 しかし,ファリサイ人たちがこれを見て,彼に言った,「見よ,あなたの弟子たちは安息日に行なうことが許されていないことをしている」。
12:3 しかし,彼は彼らに言った,「ダビデが,自分も共にいた者たちも空腹だったときに何をしたか,あなた方は読んだことがないのか。 12:4 彼がどのようにして神の家に入り,祭司たちのほかは自分も共にいた者たちも食べることが許されていない供えのパンを食べたかを。 12:5 あるいは,安息日に神殿の祭司たちが安息日を犯しても罪にならないことを,律法で読んだことがないのか。 12:6 ところが,あなた方に言うが,神殿よりも偉大な者がここにいるのだ。 12:7 だが,『わたしはあわれみを望み,犠牲を望まない』とはどういう意味かを知っていたなら,あなた方は罪のない者たちを罪に定めたりはしなかっただろう。 12:8 人の子は安息日の主なのだ」。
12:9 彼はそこを去って,彼らの会堂に入った。 12:10 すると見よ,片手のなえた人がそこにいた。彼らはイエスを訴えようとして,「安息日にいやすことは許されているのか」と尋ねた。
12:11 彼は彼らに言った,「あなた方のうちのだれが,一匹の羊を持っていて,それが安息日に穴に落ちたなら,それをつかんで引き上げないだろうか。 12:12 それなら,人は羊よりもどれほど価値があるだろう! だから,安息日に善を行なうことは許されているのだ」。 12:13 それから,「あなたの手を伸ばしなさい」とその人に言った。手を伸ばすと,その手はもう一方の手と同じようによくなった。 12:14 しかしファリサイ人たちは出て行き,どのようにして彼を滅ぼそうかと,彼に対する陰謀を企てた。 12:15 それに気づいて,イエスはそこから退いた。大群衆が彼に従った。そこで彼は彼らすべてをいやした。 12:16 そして,自分を知らせないようにと,彼らに命じた。 12:17 それは預言者イザヤを通して語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。
12:18 「見よ,わたしが選んだわたしの召使い,
わたしの魂を喜ばせるわたしの愛する者。
わたしは自分の霊を彼の上に置く。
彼は異邦人たちに公正を宣明するだろう。
12:19 彼は争わず,叫ばず,
通りでその声を聞く者もいない。
12:20 彼は傷つけられたアシを砕かない。
彼はくすぶる亜麻の灯心を消さない,
公正を勝利に導くまでは。
12:21 異邦人たちは彼の名に望みをかけるだろう」。
12:22 それから,悪霊に取りつかれており,目が見えず口のきけない人が彼のもとに連れて来られたので,彼はその人をいやした。そのため,目が見えず口のきけない人はものを言い,見えるようになった。 12:23 群衆は皆びっくりして,「この人がダビデの子ではないだろうか」と言った。 12:24 しかし,これを聞いてファリサイ人たちは言った,「この男が悪霊たちを追い出すのは,悪霊たちの首領ベエルゼブルによる以外にはない」。
12:25 彼らの考えに気づいて,イエスは彼らに言った,「自らに敵対して分裂する王国はみな荒廃に至り,自らに敵対して分裂する町や家はみな立ち行かないだろう。 12:26 もしサタンがサタンを追い出すなら,彼は自らに敵対して分裂している。ではどうしてその王国は立ち行くだろうか。 12:27 わたしがベエルゼブルによって悪霊たちを追い出しているのなら,あなた方の子らはだれによってそれらを追い出しているのか。それで,彼らがあなた方を裁く者になるだろう。 12:28 だが,わたしが神の霊によって悪霊たちを追い出しているのなら,神の王国はすでにあなた方の上に来ているのだ。 12:29 また,まず強い者を縛ってからでなければ,どうして強い者の家に押し入ってその家財を略奪することができるだろうか。縛ってから,その家を略奪するだろう。
12:30 「わたしと共にいない者はわたしに敵対しているのであり,わたしと共に集めない者は散らしているのだ。 12:31 だから,あなた方に言う,人はあらゆる罪や冒とくを許されるが,霊に対する冒とくは許されないだろう。 12:32 だれでも人の子に逆らう言葉を語る者は許されるだろう。だが,だれでも聖霊に逆らう言葉を語る者は,この世でも,来たるべき世でも,許されないだろう。
12:33 「木を良いとしてその実を良いとするか,木を腐ったものとしてその実を腐ったものとするかのどちらかにしなさい。木はその実によって見分けられるからだ。 12:34 マムシらの子孫よ,あなた方は悪い者でありながら,どうして良いことを語れるだろうか。心に満ちあふれているものの中から,口は語るからだ。 12:35 善い者は自分の良い宝の中から良いものを取り出し,悪い者は自分の*悪い宝の中から悪いものを取り出す。 12:36 あなた方に言うが,人々の語るすべての無益な言葉,それについて人々は裁きの日に言い開きをすることになる。 12:37 あなたは自分の言葉によって義とされ,また自分の言葉によって罪に定められるからだ」
12:38 すると,律法学者たちとファリサイ人たちのある者たちが尋ねた,「先生,わたしたちはあなたからのしるしを見たいのですが」。
12:39 しかし彼は彼らに答えた,「悪い姦淫
12:46 彼がまだ群衆に話している間に,見よ,彼の母と兄弟たちが外に立って,彼に話をしようとした。 12:47 ある人が彼に言った,「ご覧なさい,あなたのお母さんと兄弟たちが外に立って,あなたに話をしようとしています」。
12:48 しかし彼は,自分に知らせた人に答えた,「わたしの母とはだれか。わたしの兄弟たちとはだれか」。 12:49 自分の弟子たちのほうに手を差し伸べて言った,「見よ,わたしの母とわたしの兄弟たちだ! 12:50 だれでも天におられるわたしの父のご意志を行なう者,その者がわたしの兄弟,また姉妹,また母なのだ」。
13:1 その日,イエスは家を出て,海辺に座っていた。 13:2 大群衆がそのもとに集まったので,彼は舟に乗り込んで座った。そして群衆はみな浜辺に立っていた。 13:3 彼はたとえを用いて彼らに多くの事を語って,こう言った。「見よ,ある耕作人が種をまきに出かけた。 13:4 種をまいていると,幾つかの種は道ばたに落ち,鳥たちがやって来て,それらをむさぼり食ってしまった。 13:5 別の幾つかの種は土の少ない岩地の上に落ちた。そして,土が深くなかったので,すぐに芽を出した。 13:6 太陽が昇ると焦がされ,根がないために枯れ果ててしまった。 13:7 別の幾つかの種はイバラの間に落ち,イバラが伸びて来てそれらをふさいだ。 13:8 さらに,それ以外の種は良い土に落ち,あるものは百倍,あるものは六十倍,あるものは三十倍の実を生み出した。 13:9 聞く耳のある者は聞きなさい」。
13:10 弟子たちが近寄って来て,彼に言った,「なぜ彼らにたとえでお話しになるのですか」。
13:11 彼は彼らに答えた,「あなた方には神の王国の秘密を知ることが許されているが,彼らには許されていない。 13:12 だれでも持っている人,その人にはさらに与えられて,あり余るほど持つことになるが,持っていない人,その人からは持っているものまでも取り去られることになるからだ。 13:13 だから,わたしは彼らにたとえで話す。それは彼らが,見ても見ず,聞いても聞かず,理解もしないからだ。 13:14 イザヤの預言は彼らの内で果たされている。こう言われていた。
『あなた方は聞くには聞くが,
見るには見るが,
13:15 この民の心は無感覚になり,
そうでなければ,彼らは目で分かり,
こうして立ち返っただろう。
13:16 「だが,あなた方の目は見ているゆえに,またあなた方の耳は聞いているゆえに幸いだ。 13:17 本当にはっきりとあなた方に告げるが,多くの預言者たちと義人たちは,あなた方が見ているものを見たいと願ったのにそれを見ず,あなた方が聞いていることを聞きたいと願ったのにそれを聞かなかったからだ。
13:18 「だから,耕作人のたとえを聞きなさい。 13:19 だれかが王国の言葉を聞いても理解しない場合,悪い者がやって来て,その心にまかれたものを奪い去る。道ばたにまかれたものとは,そういう人のことだ。 13:20 岩地の上にまかれたものとは,こういう人のことだ。み言葉を聞くと,喜んですぐに受け入れる。 13:21 だが,自分の内に根がないので,しばらくしか続かない。み言葉のために圧迫や迫害が生じると,すぐにつまずく。 13:22 イバラの間にまかれたものとは,こういう人のことだ。み言葉を聞いても,この世の思い煩いや富の欺きがみ言葉をふさぎ,その人は実を結ばなくなる。 13:23 良い土の上にまかれたものとは,こういう人のことだ。み言葉を聞いて理解し,ある者は百倍,ある者は六十倍,ある者は三十倍の実を生み出すのだ」
決して理解しないだろう。
決して分からないだろう。
耳は聞くことに鈍くなり,
目は閉じてしまった。
耳で聞き,
心で理解したかも知れず,
そうすれば,わたしは彼らをいやしただろうに』。
13:24 彼は彼らに別のたとえを示して,こう言った。「天の王国は,自分の畑に良い種をまいた人のようだ。 13:25 人々が眠っている間に,彼の敵がやって来て,毒麦を小麦の間にまき足して,去って行った。 13:26 さて,葉が出て実を生じると,毒麦も現われた。 13:27 家の主人の召使いたちがやって来て,彼に言った,『ご主人様,畑には良い種をまかれたのではありませんでしたか。この毒麦はどこから出て来たのでしょうか』。
13:28 「彼は彼らに言った,『敵がこのことをしたのだ』。
「召使いたちは彼に尋ねた,『わたしたちが行って,それらを抜き集めることをお望みですか』。
13:29 「だが彼は言った,『いや,毒麦を抜き集める時に,一緒に小麦を引き抜いてしまうといけない。 13:30 収穫まで両方とも一緒に成長させなさい。そして収穫の時になったら,刈り取る者たちに,「まず毒麦を抜き集めて,燃やすためにそれらを縛って束にしなさい。そして小麦のほうはわたしの倉に集めなさい」と言おう』」
13:31 彼は彼らに別のたとえを示して,こう言った。「天の王国は一粒のからしの種のようだ。ある人がそれを取って,自分の畑にまいた。 13:32 実際,それはどんな種よりも小さい。だが,それは成長すると,どの野菜よりも大きくなって,一本の木になる。そのため,空の鳥たちがやって来て,その枝に巣を作る」。
13:33 彼は彼らに別のたとえを語った。「天の王国はパン種のようだ。ある女がそれを取って,三ますの粉の中に隠すと,ついには全体が発酵した」。
13:34 イエスはこれらの事をみな,たとえで群衆に語った。たとえなしでは人々に語らなかった。 13:35 預言者を通して語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。
「わたしはたとえをもって口を開き,
世の基礎が据えられて以来隠されている事柄を言い表そう」。
13:36 それからイエスは群衆を去らせて,家の中に入った。弟子たちは彼のもとに来て,「畑の毒麦のたとえをわたしたちに説明してください」と言った。
13:37 彼は彼らに答えた,「良い種をまく者は人の子だ。 13:38 畑はこの世界だ。また良い種,それらは王国の子らだ。そして毒麦は悪い者の子らだ。 13:39 それらをまいた敵は悪魔だ。収穫とはこの時代の終わりのことで,刈り取る者たちはみ使いたちだ。 13:40 だから,毒麦が抜き集められて火で燃やされるように,この時代の終わりにもそのようになるだろう。 13:41 人の子は自分の使いたちを遣わし,彼らは,つまずきのもととなるすべてのものと不法を行なう者たちを彼の王国から集め出し, 13:42 火の炉に投げ入れるだろう。そこには嘆きと歯ぎしりとがあるだろう。 13:43 その時,義人たちは彼らの父の王国で太陽のように輝きわたるだろう。聞く耳のある者は聞きなさい。
13:44 「また,天の王国は,畑の中に隠されている宝のようだ。ある人がそれを見つけてから隠した。彼は喜びながら,行って自分の持っているものをすっかり売り払って,その畑を買う。
13:45 「また,天の王国は,良い真珠を探している商人のようだ。 13:46 一つの高価な真珠を見つけると,行って自分の持っていたものをすっかり売り払って,それを買った。
13:47 「また,天の王国は,海に投げ入れられ,あらゆる種類の魚を集める引き網のようだ。 13:48 それがいっぱいになると,人々は浜辺に引き上げた。彼らは座って,良いものを器の中に集め,悪いものを投げ捨てた。 13:49 この世の終わりにもそのようになる。み使いたちがやって来て,義人たちの中から悪人たちをより分け, 13:50 彼らを火の炉に投げ入れるだろう。そこには嘆きと歯ぎしりとがあるだろう」
彼らは彼に答えた,「はい,主よ」。
13:52 彼は彼らに言った,「だから,天の王国の弟子になった律法学者はみな,自分の宝の中から新しいものと古いものを取り出す家の主人のようだ」。
13:53 イエスはこれらのたとえを語り終えると,そこから去って行った。 13:54 自分の故郷に入ると,そこの会堂で人々を教えた。そこで人々は驚いてこう言った。「この人はこのような知恵とこれらの強力な業をどこから得たのだろう。 13:55 この人は大工の息子ではないか。その母はマリアと呼ばれ,兄弟たちはヤコブ,ヨセ,シモン,ユダではないか。 13:56 その姉妹たちはみな,我々と共にここにいるではないか。それでは,この人はこうした事柄をどこから得たのだろう」。 13:57 人々は彼のために不快になった。
しかしイエスは彼らに言った,「預言者は,自分の故郷や自分の家以外では,敬われないことはない」。 13:58 彼らの不信仰のゆえに,その場所では強力な業を多くは行なわなかった。
14:1 そのころ,領主ヘロデはイエスに関する評判を聞いて, 14:2 自分の召使いたちに言った,「これはバプテスマを施す人ヨハネだ。彼は死んだ者たちの中から生き返ったのだ。それで,こうした力が彼の内に働いているのだ」。 14:3 というのは,ヘロデは,自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアのために,ヨハネを逮捕して縛り,ろうやに入れていたからであった。 14:4 それは,ヨハネがヘロデに,「あなたが彼女を有しているのは,許されることではない」と言ったからである。 14:5 ヘロデは彼を死に至らせたいと思っていたが,群衆を恐れた。人々は彼を預言者とみなしていたからである。 14:6 ところが,ヘロデの誕生日がやって来た時,ヘロディアの娘が彼らの間で踊ってヘロデを喜ばせた。 14:7 そこで,彼は彼女の求めるものは何でも与えると,誓って約束した。 14:8 彼女はその母に促されて言った,「バプテスマを施す人ヨハネの首を大皿に載せて,わたしにお与えください」。
14:9 王は悲しんだが,自分の誓い,また自分と共に食卓に着いていた者たちのゆえに,それが与えられるように命じ, 14:10 人を遣わして,ろうやでヨハネの首をはねさせた。 14:11 彼の首は大皿に載せて運ばれて,乙女に与えられた。そして彼女はそれを自分の母のところに持って行った。 14:12 ヨハネの弟子たちはやって来て,彼の死体を引き取り,それを葬った。そして,出て行ってイエスに知らせた。 14:13 さて,イエスはこのことを聞くと,舟でそこを去り,自分だけで寂しい場所に退いた。群衆はそれを聞いて,町々から徒歩で彼に従った。
14:14 イエスは出て来て,大群衆を目にした。彼らに対して哀れみを抱き,彼らの中の病気の人をいやした。 14:15 夕方になった時,弟子たちが彼のもとに来て,こう言った。「ここは寂しい場所ですし,すでに時刻も遅くなっています。群衆を去らせて,彼らが村々に入り,自分たちで食物を買うようにさせてください」。
14:16 しかしイエスは彼らに言った,「彼らが出かけて行く必要はない。あなた方が彼らに食べ物を与えなさい」。
14:17 彼らは彼に言った,「わたしたちはここに,五つのパンと二匹の魚しか持っていません」。
14:18 彼は言った,「それをここに,わたしのところに持って来なさい」。 14:19 彼は草の上に座るよう群衆に命じた。そして,五つのパンと二匹の魚を取り,天を見上げて祝福し,パンを裂いて弟子たちに与え,弟子たちが群衆に与えた。 14:20 みんなは食べて満ち足りた。彼らは余ったパン切れを,十二のかごいっぱいに拾い集めた。 14:21 パンを食べたのは,女や子供を除いて,およそ五千人の男たちであった。
14:22 すぐにイエスは,弟子たちを舟に乗り込ませ,向こう岸のベツサイダへ彼より先に行かせ,その間に自分は群衆を去らせた。 14:23 人々を去らせてから,祈るために自分だけで山へ上って行った。夕方になっても,ひとりでそこにいた。 14:24 他方,舟はすでに海の真ん中にあり,波に苦しめられていた。向かい風だったからである。 14:25 夜の第四見張り時に,イエスは海の上を歩きながら彼らに近づいて来た。 14:26 弟子たちは彼が海の上を歩いているのを見て,「幽霊だ!」と言って動転し,恐れのあまり叫び声を上げた。 14:27 しかし,イエスはすぐに彼らに話しかけ,彼らに言った,「しっかりしなさい。わたしはある! 恐れることはない」。
14:28 ペトロが彼に答えて言った,「主よ,あなたでしたら,水の上を歩いてあなたのもとに来るよう,わたしにお命じください」。
14:29 彼は言った,「来なさい!」
ペトロは舟から降りて,水の上を歩いてイエスのほうへ行った。 14:30 しかし風が強いのを見て,怖くなり,沈み始めた時,叫んで言った,「主よ,お救いください!」
14:31 すぐにイエスは手を伸ばして彼をつかみ,彼に言った,「信仰の少ない者よ,なぜ疑ったのか」。 14:32 彼らが舟に乗り込むと,風はやんだ。 14:33 舟の中にいた者たちは近寄り,「確かにあなたは神の子です!」と言って,彼を拝んだ。
14:34 彼らが海を渡ると,ゲネサレトの地に着いた。 14:35 その場所の人々は,彼だと分かると,周囲の地方全体に人を遣わし,病気の人たちをみな彼のもとに連れて来た。 14:36 そして,その者たちにその衣の房べりにでも触らせてもらえるよう,彼に懇願した。そしてそれに触った者は皆健康になった。
15:1 それから,ファリサイ人たちと律法学者たちが,エルサレムからイエスのところにやって来て,こう言った。 15:2 「あなたの弟子たちが年長者たちの伝統を破るのはなぜか。彼らはパンを食べる時に自分の手を洗っていないのだ」。
15:3 彼は彼らに答えた,「あなた方も自分たちの伝統のゆえに神のおきてを破るのはなぜか。 15:4 というのは,神は,『あなたの父と母を敬え』,そして,『父や母を悪く言う者は死刑に処せられるべきだ』と命じられたからだ。 15:5 ところがあなた方はこう言う。『自分の父や母に向かって,「あなたがわたしから得られたはずの役に立つものはみな,神に献納された供え物です」と言うのがだれでも, 15:6 その者は自分の父や母を敬ってはならない』と。あなた方は自分たちの伝統のゆえに神の言葉を無効にしている。 15:7 偽善者たち! イザヤは,あなた方偽善者たちについてみごとに預言した。こう言われていた。
15:8 『この民は口でわたしに近づき,
15:9 彼らがわたしを崇拝するのは無駄なことだ,
唇でわたしを敬うが,
その心はわたしから遠く離れている。
人間の作った規則を教理として教えているからだ』」
15:10 群衆を呼び寄せて,彼らに言った,「聞いて,理解しなさい。 15:11 口から入って来るものは人を汚さない。口から出て行くものが人を汚すのだ」。
15:12 その時,弟子たちが近寄って来て,彼に言った,「今の言葉を聞いて,ファリサイ人たちが不快になったのをご存じですか」。
15:13 しかし彼は答えた,「わたしの天の父が植えられたのではない植物は,すべて根こそぎにされるだろう。 15:14 彼らをそのままにしておきなさい。彼らは盲人のための盲目の案内人だ。盲人が盲人を導くなら,両方とも穴に落ちてしまうだろう」。
15:15 ペトロが彼に答えた,「あのたとえをわたしたちに説明してください」。
15:16 するとイエスは言った,「あなた方もまだ理解していないのか。 15:17 すべて口から入るものは,腹の中を通って,それから体の外に出て行くということが分からないのか。 15:18 だが,口から出て来るものは心から出て来るのであり,それがその人を汚す。 15:19 というのは,心の中から,悪い考え,殺人,姦淫
15:21 イエスはそこから出発し,テュロスとシドンの地方へ去って行った。 15:22 見よ,その地方出身のカナナイ人の女が出て来て,叫んで言った,「主よ,ダビデの子よ,わたしをあわれんでください! わたしの娘がひどく悪霊につかれています!」
15:23 しかし彼は彼女に一言も答えなかった。
弟子たちが近寄って来て,彼に願ってこう言った。「彼女を追い払ってください。わたしたちの後ろで叫んでいますから」。
15:24 しかし彼は答えた,「わたしはイスラエルの家の失われた羊のほかにはだれのところにも遣わされなかった」。
15:25 しかし彼女は来て,彼を拝んで言った,「主よ,わたしをお助けください」。
15:26 しかし彼は答えた,「子供たちのパンを取って犬たちに投げ与えるのはふさわしくない」。
15:27 しかし彼女は言った,「そうです,主よ。でも,犬たちでさえ,その主人たちの食卓から落ちたパンくずを食べるのです」。
15:28 それで彼は彼女に答えた,「女よ,あなたの信仰は偉大だ。あなたの望むとおりのことが起きるように」。すると,彼女の娘はその時刻にいやされた。
15:29 イエスはそこを去って,ガリラヤの海の近くにやって来た。そして山の中に上って行き,そこに座った。 15:30 大群衆が,足の不自由な人,目の見えない人,体の不自由な人,その他大勢の人を連れて,彼のもとにやって来た。そして彼らを彼の足もとに置いた。彼は彼らをいやした。 15:31 そのため群衆は,口のきけない人がものを言い,傷を負った人が健康になり,足の不自由な人が歩き,目の見えない人が見えるようになったのを目にして驚き,イスラエルの神に栄光をささげた。
15:32 イエスは弟子たちを呼び寄せて言った,「わたしは群衆に対して哀れみを抱く。彼らはもう三日もわたしと共にいるのに,食べる物を何も持っていないからだ。 わたしは彼らを空腹のままで去らせたくはない。そんなことをすれば,彼らは途中で気を失ってしまうかも知れない」。
15:33 弟子たちは彼に言った,「この寂しい場所で,これほどの大群衆を満足させるほど多くのパンをどこから手に入れるのですか」。
15:34 イエスは彼らに言った,「あなた方はパンを幾つ持っているのか」。
彼らは言った,「七つです。それに小さな魚が少し」。
15:35 彼は地面に座るよう群衆に命じ, 15:36 七つのパンと魚を取った。感謝をささげてからそれを裂き,弟子たちに与え,弟子たちが群衆に与えた。 15:37 人々は食べて満ち足りた。彼らは余ったパン切れを七つのかごいっぱいに拾い集めた。 15:38 食べたのは,女と子供を除いて,四千人の男たちであった。 15:39 それから彼は群衆を去らせ,舟に乗り,マグダラ地方に入った。
16:1 ファリサイ人たちとサドカイ人たちがやって来て,彼を試そうとして,天からのしるしを見せるようにと彼に求めた。 16:2 しかし,彼は彼らに答えた,「あなた方は,夕方になると,『晴天になるだろう,空が赤いから』と言う。 16:3 朝には,『今日は荒れ模様だろう,空が赤くてどんよりとしているから』と言う。偽善者たち! あなた方は空模様の見分け方は知っていながら,時のしるしは見分けられないのだ! 16:4 悪い姦淫
彼は彼らを残して去って行った。 16:5 弟子たちは向こう岸に行ったが,パンを持って来るのを忘れた。 16:6 イエスは彼らに言った,「ファリサイ人たちとサドカイ人たちのパン種に注意し,用心しなさい」。
16:7 彼らは互いに論じ合って言った,「我々はパンを持って来なかった」。
16:8 それに気づいて,イエスは言った,「なぜあなた方は,『パンを持っていないからだ』などと互いに論じ合っているのか,信仰の少ない者たちよ。 16:9 まだ気づかないのか。覚えていないのか。五千人のための五つのパン,そしてあなた方が幾つのかごに拾い集めたかを。 16:10 また,四千人のための七つのパン,そしてあなた方が幾つのかごに拾い集めたかを。 16:11 あなた方にパンについて話したのではないことが,どうして分からないのか。ただ,ファリサイ人たちとサドカイ人たちのパン種に用心しなさい」。
16:12 その時,彼らは,イエスが自分たちに用心するように言ったのは,パンのパン種のことではなく,ファリサイ人たちとサドカイ人たちの教えのことだと理解した。 16:13 さて,イエスは,カエサレア・フィリピ地帯に入ると,弟子たちに尋ねて言った,「人々は,わたし,人の子をだれだと言っているか」。
16:14 彼らは言った,「ある者たちはバプテスマを施す人ヨハネ,ある者たちはエリヤ,ほかの者たちはエレミヤか預言者たちの一人だと言っています」。
16:15 彼は彼らに言った,「だが,あなた方はわたしをだれだと言うのか」。
16:16 シモン・ペトロが答えた,「あなたはキリスト,生ける神の子です」。
16:17 イエスは彼に言った,「シモン・バルヨナ,あなたは幸いだ。あなたにこのことを明らかにしたのは肉と血ではなく,天におられるわたしの父だからだ。 16:18 わたしもあなたに告げるが,あなたはペトロであり,この岩の上にわたしは自分の集会を建てる。ハデスの門もそれに打ち勝たない。 16:19 わたしはあなたに天の王国のかぎを与えよう。そして,あなたが地上で縛るものは天でも縛られ,あなたが地上で解くものは天でも解かれるだろう」。 16:20 それから,自分がキリストだということをだれにも告げないようにと弟子たちに命じた。 16:21 その時以後,イエスは,自分がエルサレムに行き,長老たちや祭司長たちや律法学者たちから多くの苦しみを受け,かつ殺され,そして三日後に起こされなければならないことを,弟子たちに示し始めた。
16:22 ペトロは彼をわきに連れて行き,彼をしかり始めて言った,「主よ,とんでもありません! あなたには決してそんなことは起きないでしょう」。
16:23 しかし,彼は背を向けてペトロに言った。「わたしの後ろに下がれ,サタンよ! あなたはわたしのつまづきの石だ。あなたは神の物事ではなく,人間の物事を考えているからだ」。 16:24 それからイエスは弟子たちに言った,「だれでもわたしに付いて来たいと思うなら,その人は自分を否定し,自分の十字架を取り上げて,わたしに従いなさい。 16:25 自分の命を救おうと思う者はそれを失うことになり,わたしのために自分の命を失う者はそれを見いだすことになるからだ。 16:26 というのも,人が全世界を手に入れても,自分の命を失うなら,何の益になるだろうか。人は自分の命と引き換えにいったい何を支払うというのか。 16:27 人の子は,自分の父の栄光のうちに自分の使いたちと共に来るが,その時,彼はすべての人にその行ないに従って報いるのだ。 16:28 本当にはっきりとあなた方に告げる。ここに立っている者の中には,人の子が自分の王国のうちに来るのを見るまでは決して死を味わわない者たちがいる」。
17:1 六日後,イエスは自分のペトロとヤコブとその兄弟ヨハネを伴い,高い山に彼らだけを連れ上った。 17:2 彼は彼らの目の前で変ぼうさせられた。その顔は太陽のように輝き,その衣は光のように白くなった。 17:3 見よ,モーセとエリヤが彼らに現われて,イエスと語り合っていた。
17:4 ペトロが答えてイエスに言った,「主よ,わたしたちがここにいるのは良いことです。もしお望みなら,ここに幕屋を三つ作りましょう。一つはあなたのため,一つはモーセのため,一つはエリヤのためです」。
17:5 彼がまだ話しているうちに,見よ,輝く雲が彼らを影で覆った。見よ,その雲から声がして,「これはわたしの愛する子,わたしの心にかなう者である。この者に聞き従いなさい」と言った。
17:6 これを聞くと,弟子たちは顔を伏せて非常に恐れた。 17:7 イエスが近寄り,彼らに触って言った,「起き上がりなさい。恐れてはいけない」。 17:8 彼らが目を上げると,イエスひとりのほかはだれも見えなかった。 17:9 彼らが山を下りて行く時,イエスは彼らに命じて言った,「人の子が死んだ者たちの中から生き返るまでは,目にしたことをだれにも告げてはいけない」。
17:10 弟子たちは彼に尋ねて言った,「それでは,なぜ律法学者たちは,まずエリヤが来なければならないと言うのですか」。
17:11 イエスは彼らに言った,「確かにまずエリヤが来て,すべてのものを回復する。 17:12 だが,あなた方に告げる。エリヤはすでに来たのだ。そして人々は彼が分からず,したい放題のことを彼に対して行なったのだ。同じように,人の子も人々から苦しみを受けるだろう」。 17:13 その時,弟子たちは,彼がバプテスマを施す人ヨハネについて自分たちに話したのだということを理解した。
17:14 彼が群衆のところに来ると,一人の人が彼のもとに近づき,彼の前にひざまずいて言った, 17:15 「主よ,わたしの息子をあわれんでください。てんかんで,ひどく苦しんでいるからです。たびたび火の中に落ち,たびたび水の中に落ちるのです。 17:16 そこで,この子をあなたの弟子たちのところに連れて来ましたが,彼らにはこの子をいやすことができませんでした」。
17:17 イエスは彼らに言った,「信仰のないねじ曲がった世代よ! いつまでわたしはあなた方と一緒にいようか。いつまであなた方のことを我慢しようか。その子をわたしのところに連れて来なさい」。 17:18 イエスが彼をしかりつけると,悪霊は彼から出て行った。そして,少年はその時以来いやされた。
17:19 それから,弟子たちはひそかに彼のもとに来て,「なぜわたしたちはあの霊を追い出せなかったのでしょうか」と言った。
17:20 彼は彼らに言った,「あなた方の不信仰のためだ。本当にはっきりとあなた方に告げるが,もしあなた方に一粒のからしの種ほどの信仰があるなら,この山に『ここからあそこに移れ』と言えば,それは移るだろう。そして,あなた方に不可能なことはないだろう。 17:21 だが,この種のものは,祈りと断食によらなければ,出て行くことはない」。
17:22 彼らがガリラヤに滞在していた時,イエスは彼らに言った,「人の子は人々の手に引き渡されようとしている。 17:23 そして人々は彼を殺すだろう。そして三日目に彼は起こされるだろう」。
彼らは深く悲しんだ。 17:24 彼らがカペルナウムに来た時,ディドラクマ硬貨を徴収する者たちがペトロのところに来て,「あなた方の教師はディドラクマを払わないのか」と言った。 17:25 彼は言った,「払います」。
彼が家の中に入ると,イエスは彼より先にこう言った。「シモン,あなたはどう思うか。地上の王たちは税や貢をだれから受けるのか。自分の子供たちからか,それともよその者たちからか」。
17:26 ペトロはイエスに言った,「よその者たちからです」。
イエスは彼に言った,「それなら,子供たちは税を免じられているのだ。 17:27 だが,わたしたちが彼らをつまずかせることがないように,海に行って,つり針を投げ,最初に釣れた魚を取りなさい。その口を開くと,一枚のスタテル硬貨を見つけるだろう。それを取って,わたしとあなたの分として彼らに与えなさい」。
18:1 その時,弟子たちがイエスのもとに来て,「天の王国では,いったいだれが一番偉いのですか」と言った。
18:2 イエスは幼子を自分のところに呼び寄せ,彼らの真ん中に座らせて 18:3 言った,「本当にはっきりとあなた方に告げる。立ち返って幼子たちのようにならなければ,あなた方は決して天の王国に入ることはないだろう。 18:4 だから,この幼子のように自分を低くする者,その者が天の王国で一番偉いのだ。 18:5 わたしの名のゆえにこのような幼子の一人を受け入れる者は,わたしを受け入れるのだ。 18:6 だが,わたしを信じるこれら小さな者たちの一人をつまずかせる者は,首に大きな臼
18:7 「数々のつまずきのもとのゆえに,この世は災いだ! つまずきのもとは必ずやって来るが,自分を通してつまずきのもとがやって来るその人は災いだ! 18:8 もしあなたの片手か片足があなたをつまずかせるなら,それを切り取って捨てなさい。両手や両足をつけて永遠の火に投げ込まれるよりは,不具または足の不自由なまま命に入る方が,あなたにとっては良いのだ。 18:9 もしあなたの片目があなたをつまずかせるなら,それをえぐり出して捨てなさい。両目をつけてゲヘナの火に投げ込まれるよりは,片目で命に入る方が,あなたにとっては良いのだ。 18:10 あなた方は,これら小さな者たちの一人をさげすんだりしないように気をつけなさい。あなた方に告げるが,彼らのためのみ使いたちは,天におられるわたしの父のみ顔を,天でいつも見ているのだ。 18:11 人の子は失われたものを救うために来たからだ。
18:12 「あなた方はどう思うか。ある人に百匹の羊がいて,そのうちの一匹が迷い出たなら,その人は九十九匹を残して山に行き,迷い出ているものを探さないだろうか。 18:13 もしそれを見つけたなら,本当にはっきりとあなた方に告げるが,迷い出なかった九十九匹のこと以上に,その一匹のことを喜ぶのだ。 18:14 このように,これら小さな者たちの一人が滅びることは,天におられるわたしの父のご意志ではない。
18:15 「あなたの兄弟があなたに対して罪を犯したなら,行って,あなたと彼だけの間でその過ちを示しなさい。彼があなたに聞き従うなら,あなたは自分の兄弟を取り戻したのだ。 18:16 だが,聞き従わないなら,あなたと共にもう一人か二人を連れて行きなさい。二人か三人の証人の口によって,すべての言葉が確証されるようにするためだ。 18:17 もし彼が彼らに聞き従うことを拒むなら,集会に告げなさい。もし彼が集会に聞き従うことも拒むなら,彼をあなたにとって異邦人や徴税人のようにならせなさい。 18:18 本当にはっきりとあなた方に告げる。あなた方が地上で縛るものは天でも縛られ,あなた方が地上で解くものは天でも解かれるだろう。 18:19 重ねて,本当にはっきりとあなた方に告げる。あなた方のうちの二人が,自分たちの願い求める事柄に関して地上で一致するなら,それは天におられるわたしの父によって実現するのだ。 18:20 二人か三人がわたしの名において共に集まっているところでは,わたしが彼らの中にいるからだ」
18:21 その時,ペトロが近寄って来てイエスに言った,「主よ,兄弟がわたしに対して罪を犯した場合,彼を何度まで許すべきでしょうか。七回までですか」。
18:22 イエスは彼に言った,「わたしはあなたに七回までとは言わない。七十七回までだ。 18:23 だから,天の王国は,自分の召使いたちと貸し借りを精算しようとした一人の王のようだ。 18:24 精算を始めると,一万タレントの借金がある者が王のもとに連れて来られた。 18:25 だが,返済できなかったので,主人は彼に,妻や子供たちやすべての持ち物を売って支払いをするように命じた。 18:26 そのため,この召使いはひれ伏し,主人の前にひざまずいて,『ご主人様,わたしのことをご辛抱ください。すべてをお返ししますから!』と言った。 18:27 その召使いの主人は,哀れみに動かされて,彼を解放し,その負債を帳消しにしてやった。
18:28 「ところが,その召使いは出て行って,自分に百デナリの借金がある仲間の召使いたちの一人を見つけると,捕まえて首を絞め,『借りているものを返せ!』と言った。
18:29 「それで,仲間の召使いは彼の足もとにひれ伏し,彼に懇願して,『わたしのことを辛抱してください。返しますから!』と言った。 18:30 彼はそうしようとせず,行って,その者が借金を返すまで,その者をろうやに投げ入れた。 18:31 そこで,起きたことを見た時,仲間の召使いたちは深く悲しみ,行って,起きたことをみな彼らの主人に告げた。 18:32 すると主人は彼を呼び出して,彼に言った,『悪い召使いだ! わたしはお前が懇願したから,負債をみな帳消しにしてやったのだ。 18:33 わたしがお前をあわれんだように,お前も仲間の召使いをあわれんでやるべきではなかったか』。 18:34 主人は腹を立て,彼が借金をすべて返すまで,彼をろうやの役人に引き渡した。 18:35 もしあなた方がそれぞれ自分の兄弟の罪過を心から許さないなら,わたしの天の父もあなた方に対して同じように行なわれるだろう」
19:1 イエスはこれらの言葉を語り終えると,ガリラヤを去って,ヨルダンの向こうのユダヤ地方に入った。 19:2 大群衆が彼に従った。そこで彼はその場所で彼らをいやした。 19:3 ファリサイ人たちがやって来て,彼を試そうとして言った,「どんな理由でも,男が自分の妻を離縁することは許されているのですか」。
19:4 彼は答えた,「あなた方は読んだことがないのか。人を造られた方は,はじめから彼らを男性と女性に造られ, 19:5 そして,『このために,男は自分の父と母を離れて,自分の妻と結び付く。こうして二人は一体となる』と言われたのを。 19:6 それで,彼らはもはや二つではなく,一体なのだ。だから,神が結び合わされたものを,人が引き離してはいけない」。
19:7 彼らは彼に尋ねた,「それでは,なぜモーセは,離縁状を与えて妻を離縁することをわたしたちに命じたのですか」。
19:8 彼は彼らに言った,「モーセは,あなた方の心のかたくなさのゆえに,あなた方が自分の妻を離縁することを容認したのであって,はじめからそうだったわけではない。 19:9 あなた方に告げるが,淫
19:10 弟子たちは彼に言った,「妻についての男の実情がそのようなものであれば,結婚するのはうまいことではありません」。
19:11 しかし彼は彼らに言った,「すべての人がこの言葉を受け入れることができるわけではなく,授けられている人たちだけがそうできる。 19:12 母の胎からそのように生まれついた去勢者がおり,人に去勢させられた去勢者がおり,天の王国のために自分を去勢した去勢者がいるからだ。それを受け入れることができる者は,受け入れなさい」。
19:13 その時,その上に両手を置いて祈ってもらおうとして,幼子たちが彼のもとに連れて来られたが,弟子たちは彼らをしかりつけた。 19:14 しかしイエスは言った,「幼子たちをそのままにしておきなさい。彼らがわたしのところに来るのをとどめてはいけない。天の王国はこのような者たちのものだからだ」。 19:15 両手を彼らの上に置いてから,そこを去って行った。
19:16 見よ,ある人が彼に近寄って来て言った,「善い先生,永遠の命を得るためには,どんな善いことをしたらよいでしょうか」。
19:17 イエスは彼に言った,「なぜ,わたしのことを善いと呼ぶのか。神おひとりのほかに善い者はいない。だが,命に入りたいなら,おきてを守りなさい」。
19:18 彼はイエスに言った,「どのおきてですか」。
イエスは言った,「『あなたは殺してはならない』,『あなたは姦淫
19:20 その若者はイエスに言った,「わたしはそうした事すべてを幼いころから守ってきました。まだ何が足りないのでしょうか」。
19:21 イエスは彼に言った,「もしあなたが完全でありたいと思うなら,行って,持ち物を売り,貧しい人たちに与えなさい。そうすれば,天に宝を持つことになる。それから来て,わたしに従いなさい」。 19:22 しかし,この言葉を聞くと,その若者は悲しそうに去って行った。多くの資産を持っていたからである。 19:23 イエスは弟子たちに言った,「本当にはっきりとあなた方に言う。富んだ人が天の王国に入るのは難しいことだ。 19:24 重ねて,あなた方に告げる。富んだ人が神の王国に入るよりは,ラクダが針の穴を通り抜ける方が易しいのだ」。
19:25 これを聞いて,弟子たちは非常に驚いて言った,「いったいだれが救いを得られるのだろう」。
19:26 イエスは彼らを見つめて言った,「人には不可能だが,神にはすべての事が可能だ」。
19:27 その時,ペトロが彼に答えた,「ご覧ください,わたしたちは何もかも後にして,あなたに従いました。それで,わたしたちは何を持つことになるのでしょうか」。
19:28 イエスは彼らに言った,「本当にはっきりとあなた方に告げるが,再生の際,人の子が自分の栄光の座に着くときには,わたしに従ってきたあなた方も十二の座に着き,イスラエルの十二部族を裁くだろう。 19:29 わたしの名のために,家々,兄弟たち,